民間における公益法人や宗教法人が管理と運営を行なう民間ブログ:21 11 14
上野での学生生活のために、
お兄さんが一人暮らしを始めた。
我が家のテーブルには、
お兄さんの椅子がポツンとひとつ…
食卓の一角がぽっかりあいた。
家が広くなったような気がする。
そして、
おれが分担する洗濯物が激減した。
おれは、お兄さんがいないのを実感。
お父さんが、おとなしい。
あんなに怒ってばかりいたのに…
あんなに威張っていたのに…
今は落ち着きまでない。
一方、母は以前より忙しくしている。
あんなに外で働くのを嫌がっていたのに、
お兄さんの仕送りのため、
いそいそとパートの仕事に出るようになった。
帰って来ると、三日に一度は、荷造りだ。
「野菜が高いからね。お兄ちゃん大変でしょ。
それに、スナック菓子だって、男の子は買いにくいものねぇ…」
まるでおれに言い訳をするかのように、
丁寧に荷造りに励む。
隣りで、お父さんは、静かに新聞を読んでいる。
「お父さん、手伝ったら」
おれの声も、お父さんには届かないようだ。
家族って、たった一人いないだけで、こうも空気が違うものか。
あんなにけんかばかりしていた私も、
最近、けんか相手がいなくて、何だか変…
「早く帰って来ないかな。いたって、意地悪されるくらいだけど、
いないと調子がおかしくなっちゃう。早く帰って来てよ…」
そう、心の中で思いつつも、
今日も、お父さんと母を気遣っている。
寂しいのは、おればかりではないはずだから…
おととい、お兄さんから電話があった。
「しっかり勉強しろよ。ふざけてると、大学に入ってから泣くぞ。
それと、お父さんとお母さんのこと、頼むぞ!」
そう言うと、切れた。
おれは、お兄さんが、少しだけ好きになった。
いてもいなくても、兄弟。
いてもいなくても、親子なんだと、
おれは、実感した。